8/30愛知・股関節ポジショニングセミナーは、股関節のムーブメントがテーマでした。「牧神の蹄」で股関節外旋の運動感覚を養い、基本動作「スクワット、股割り」でカラダの各器官を統合し動きを滑らかにする訓練をおこないました。
股関節ポジショニングは、股関節を立体的に滑らかに動かすための手順を踏みます。それは、怪我の回復、パフォーマンスアップに必要不可欠なカラダの機能を万全にするためです。現場では、このカラダの機能回復をおこなわないで「怪我の治療」や「パフォーマンスアップのためのトレーニング」をして行き詰まりを感じている人が多くいらっしゃいます。怪我の治癒に必要な機能回復がおこなわれなければ治らないまま、パフォーマンスアップに相応のカラダの機能に達していなければ現状から変わらず、当然のことなのですがこのことに気づくのは難しいようです。しかし、実際にトレーニングすすめていくと、「脇を締める」「ひざを曲げる」「股関節を曲げる」といった単純なことが、満足にできないことに、ようやく気付きます。
スクワットは、「しゃがむ」というシンプルな動作訓練です。スクワットトレーニングをどのように解釈し、どのような目的のためにおこなうのか、ということは、大切なことです。股関節ポジショニングでは、カラダの各器官を統合し動きを滑らかにする目的でおこないます。
≪スクワットのポイント≫
股関節の屈曲には、「外旋が加わる屈曲」と「内旋が加わる屈曲」があります。スクワットを行う場合は、股関節の屈曲に内旋を加えるとブレーキに作用しますので、「外旋が加わる屈曲」でしゃがむ動作を行います。
動作の時には腹圧を上げてスクワットをおこないます。腹圧は、体幹を安定させ、腸腰筋が機能する状態にし、股関節を「外旋が加わる屈曲」で滑らかに動かすことができます。逆に、腹圧を上げることができなければ、股関節を滑らかに動かすことができません。
ポジション、動作に慣れたら、さらに動きを滑らかに訓練します。「しゃがむ」という動作から「落ちる」という動作へ「ストーン」という感じで滑らかな重心移動の軌道へ体幹を落とします。そして、体幹が股関節・膝関節・足関節が最大屈曲まで落下したら、弾み上がります。これをテンポよく行います。
股割りは股関節の外転、外旋、屈曲の訓練です。スクワット動作同様に、カラダの各器官を統合し動きを滑らかにする目的でおこなう基本動作です。
≪股割りのポイント≫
今回は、この2点(足関節の底背屈)をポイントにレッスンしました。足関節を底屈で保持する股割り動作は、背屈に比べ外旋力を要するため、それを保持するために筋力が必要です。あらかじめ、後脛骨筋、ハムストリングス、外旋六筋、腸腰筋にアプローチをかけているものの、筋機能の回復不足から、股関節の外旋を保持できるまでに至りません。しかし、このチャレンジは微量ながらも股関節外旋力の記憶から足関節背屈で行う股割り動作を滑らかにしました。
股割り動作は前方へ重心を移動させます。その際に、おでこを床につけたり、胸を床につけるような「伏せる」動きで重心移動を止めてしまわないように、顔を正面、胸郭を立てたまま、いすを前方へ移動させます。
股割り動作は、前方へ重心が移動すると、まず、下腹が床に接触します。おでこや胸を床につけるやり方は股割りではありません。股割り動作は、出来る限り体幹を保持できるように訓練しましょう!
2015年夏を締めくくるのにふさわしいオーソドックスな基本動作の訓練でした。スクワットはしゃがむ動作、股割りは開脚前屈動作、ただそれだけのシンプルな動作が難しい。おそらく、似たような動作は誰にでもできると思います。しかし、シンプルに重心が滑らかな軌道を描いているかといえば似て非なるもの。これが、動きの『質』といわれるものだと思います。もしかしたら、怪我が治らないことも、パフォーマンスが上がらないことも、動作の『質』に理由があるのかもしれません。それに気づいたのなら、怪我の回復、パフォーマンスアップに必要不可欠なカラダの機能を万全にするためのトレーニングに全力を尽くしてください。
このトレーニングでは、プッシュアップを腕立て伏せとして行いません。「伏せる」という意味は下へ、プッシュアップと言う意味は「押すpush」 +「上へup」、意味が違えば真逆の運動です。このトレーニングは上へ、ぷっしゅ、ぷっしゅ、押し出します。^^