2015年2月8日、名古屋セミナーは午前中が骨格ポジショニング、午後が股割り入門だった。骨格ポジショニングは、重心位置を決定し深部感覚を入力した。入力した後はひとつひとつ効果を確認し深部感覚というものがどういうものなのかを肌で感じる。効果を上手く出さなかったとしても感覚の実力以上のことはできないから入力を重ねて厚くすればよい。
深部感覚の入力は、感覚を拾うということを理解することが大切だ。刺激を入れて効果が出るわけではなく、刺激の受け取り方を問う。刺激というのは、自分の運動と重さになる。押したり、圧したりという機械的刺激の量ではないということだ。末端から頭までのルーティーンを一通り行い、自分のカラダを自覚する。とても有意義な瞬間だ。
この日は、前回セミナーに参加された方から3週間で外反母趾が改善されたとの報告を受けた。また足の小指はシューズの中で固まって他の指とひっついていたが、それぞれの感覚が目覚めはじめ指らしくなってきたそうだ。確かに、足の指先には新鮮な瑞々しさがみられ、復活の勢いがあった。外反母趾や足底筋膜炎に限らず、足が頻繁に攣る、お尻から脚まで痺れる、腰が疼くなど人は様々な症状に悩まされている。しかし、その症状が知らせている真意を感じ取ることができたのならほとんどの問題は解決するだろう。
先の深部感覚よりは運動経験が際立つ訓練だ。股関節をやわらかくしたいという参加者がほとんどなので、股割りの目的について前置きが必要になる。結局、自分は硬いと思っているが、その理由を感じ取ることができないでいる。股関節の存在すら危うく消えかけているといった感じだろうか。構造上は誰でも開脚前屈が出来る仕組みになっている。それが出来ないのなら理由がある。ほとんどの参加者は、それが硬いからであり、やわらくすることでクリアできると信じてきた。結果、股関節の運動が滑らかになることはなかった。
この両者のどちらかが欠けたとしても運動は成立しない。運動を経験するというのは股関節をある方向に動かす経験。感覚を経験するというのは股関節の関節角度を知る経験。この両者を重ねて股関節運動の質が高まる。
できないとか、わからないというのは知識として股割りのやり方を理解しようとしているだけで上記の経験が不足している。股関節運動は動かす条件が整わなければ経験できないし、股関節感覚は動かさなければ経験できない。経験は知識から得るのではなく、実践からでしか得ることができないのだ。股割りは股関節の存在を明らかにし脚を自由に動かすための基本的な訓練だといえる。
先日、参加された方からアン・ドゥオールができるようになったとの報告を受けた。適切な股割り運動の入力がされると大腿内側が薄くなる感じになる。逆にいえば大腿後側、お尻側を意識することができるようになる感覚だ。こればかりは、効果を出せるように訓練するしかないだろう。