頚部前面に付着する骨格筋の解剖学的特徴

頚部前面に付着する骨格筋の解剖学的特徴

頚部前面を解放してバランス感覚、およびスポーツ動作のパフォーマンスアップ

10/9名古屋・構造動作研究会のテーマは頚部前面に付着する骨格筋の解剖学的特徴と頚部・頭部の深部感覚(固有感覚)UP、脊柱の機能回復。

深部感覚

スライドで頚部に付着する骨格筋の解説を聞きながら特徴を確認。
広頸筋、胸鎖乳突筋、顎二腹筋、茎突舌骨筋、顎舌骨筋、おとがい舌骨筋、胸骨舌骨筋、胸骨甲状筋、甲状舌骨筋、肩甲舌骨筋、前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋、前頭直筋、頚長筋、頭長筋、咬筋、側頭筋、内側・外側翼突筋

深部感覚
▲骨格筋の形と触察法(大峰閣) 著:河上敬介、磯貝薫

臨床で頚部前面の触察の際に注意すべきは頚神経叢、腕神経叢、総頸動脈、鎖骨下動静脈、外頸動脈、内頸静脈。

深部感覚
▲分冊解剖学アトラス 越智淳三=訳

舌骨を指標に前頚筋、椎前筋を確認する。椎前筋は甲状軟骨、気管をよけて神経叢、動静脈に注意すること。

深部感覚
▲分冊解剖学アトラス 越智淳三=訳

舌筋は舌外筋と舌内筋からなる。舌は咀嚼や吸飲を助け味覚や触覚のための感覚器をもち、言語構成に役立っている。

深部感覚
▲分冊解剖学アトラス 越智淳三=訳

顎関節は咀嚼器だといえる。摂取した食物を歯で咬み、粉砕する。これにより消化を助け、栄養をとることができる。咀嚼や話すときの顎関節は回転運動と滑走運動が起こる。睡眠中など受動的に口を開けるときには滑走運動が起こらない。

深部感覚

前頚筋、椎前筋のアプローチ

頚部前面の状態は、顔面神経麻痺、三叉神経痛、眼瞼下垂、頭痛、耳鳴り、顎関節痛、噛みあわせのズレ、眼精疲労、寝違い、五十肩、バランス感覚の低下など様々な症状に影響がある。

筋肉をゆるめることも関節の可動を解放することは一時的に効果的だが、深部感覚の回復がおこなわれてないばかりに治らずに症状を複雑にしているケースが少なくない。

深部感覚の回復には機能的肢位をとることが重要になる。「骨支持による強さ」「安定」「骨格筋の協調による円滑な関節運動」この3つのポイントを確実に備えたポジションでリハビリを進めることが大切。

パフォーマンスアップを狙ってトレーニングする場合は、単に筋肉や関節に柔軟性を与えるアプローチでは動作の質が向上しない。動作における深部感覚(固有感覚)を高める必要がある。

頭部、頚部、顎関節のアプローチは、特殊感覚、平衡感覚、深部感覚へのアプローチだといえる。スポーツ動作において備えておきたい基本的なバランス感覚だ。この感覚がうすいまま不安定な環境でバランストレーニングをしている様子をみかけるが、これではバランス感覚を養うというより不安定な状況でも頑張れる筋トレをしているようだ。骨格筋は骨、関節の位置を調整する役割なのに、バランス筋トレをしてしまうと故障の原因ばかりでなくパフォーマンスを低下させる原因になりかねないので注意が必要だ。

次回は顔面部に付着する骨格筋の解剖学的特徴を確認しながら実習をします。