努力しても抜けない緊張

リラックス、脱力をして動作を滑らかにする(技術では抜けない緊張)

カラダが力みや緊張した状態では、軽やかなパフォーマンスを発揮できないために、様々なリラックス、脱力のテクニックが駆使されています。日常生活においてもストレスによるカラダの力みや緊張は、不調につながることから、それを和らげるための工夫がされています。しかし、様々なテクニックを駆使しても抜けない緊張があります。それは、カラダの構造による緊張です。カラダの骨格構造は、骨が支える役割、筋肉が骨格を調節する役割です。それが、骨の役割を筋肉に任せた場合に緊張が生じます。

例えば、家を支える柱が傾いていたとします。それでは倒れてしまうため柱が倒れないようにつっかえ棒で補強します。この柱を補強しているつっかえ棒が筋肉の緊張です。さらに、台風が来るかもしれないので、窓にベニヤを打ち付けて外観を完全防御します。この台風がストレスで、外観の防御がカラダの各器官の様々な働きです。

これは、「肉体、構造」による緊張と「心、精神」による防御反応からなる緊張です。

家の柱が傾いていて、それをつっかえ棒で補強(肉体、構造)⇒緊張
台風が来るかもしれないので窓にベニヤを打ち付け防御(心、精神)⇒防御反応からなる緊張

「肉体、構造」の緊張は、柱を立て直せば緊張はなくなります。「心、精神」による防御反応は、台風の恐れが消えることで防御反応が消えます。台風の恐れというのは、無事に台風が通り過ぎれば問題ありませんが、来ないはずの台風を恐れているかもしれないし、台風で被害を受けた経験からの恐れかも知れません。「心、精神」による防御反応は、様々な状況が考えられます。普段の練習では、難なくクリアできることが、いざ本番では思うようにカラダが動かないという経験をしたことがあるのではないでしょうか。これをクリアするにも、様々な解決方法があるように人の心の内は複雑です。

リラックス、脱力法での効果:手技療法、施術

リラックス、脱力などの効果を得る方法は、肉体と心双方に作用すると考えられます。しかし、肉体においては家の傾いた柱を補強している「つっかえ棒」に作用するものがほとんどで、柱を立て直すまでに至らないために緊張が消えることなく繰り返します。
例えば、

筋肉の緊張を和らげる目的で行うマッサージ施術などは、施術後に緊張が和らぎ、カラダが軽くなります。しかし、柱を立て直すためのアプローチを行わない限り、筋肉の緊張は繰り返されます。

このように筋肉の緊張に対してアプローチをする方法が多く、「なぜ、筋肉の緊張が起こっているのか?」を考える人は少ないと思います。思考停止状態のままでは、筋肉の緊張が消えることはありません。しかし、筋肉の緊張の理由を勘違いして努力の方向性を見失ってしまわぬように注意が必要です。

肩、腕をだらりと、猫背気味に脱力している人がカラダの不調で困っていました。これは、筋肉の緊張をやわらげるということが、姿勢の力を抜くことと勘違いしています。姿勢は、カラダの各器官が機能する位置、内臓等を保護する位置に保持するものですが、これらの役割を怠ることは不調の原因になると考えられます。

骨格位置は他者による調整では、なかなか意思を持つまでには至りません。

からだのゆがみ、骨の位置を調整してもらうために整体に通う人がいました。3年間毎週、カラダの調整をしてもらっているのに気を抜くと猫背に戻り、カラダが歪んでしまうといいます。それは、自分の運動感覚に落とし込むというアプローチがされていません。そのため自分で保つことができないのです。

カラダの各器官には、それぞれ役割があります。役割を怠ったり、役割以上の仕事を押し付けてしまうとカラダを壊す原因になりかねないので注意が必要です。

胸郭の動きの悪い人が、呼吸法を続けていました。ところが、リラックスするどころか、顔色が悪くなり、うつに陥ってしまいました。「なぜ、胸郭の動きがわるいのか?」ということを考えず、闇雲に呼吸法で対処しようとしたことにより不調に陥ってしまったのでしょう。呼吸は、普段無意識に行われていますが、意識的にもコントロールできる仕組みになっています。なぜ、このような仕組みになっているのでしょうか?呼吸は生命を左右するものです。理由がわからないうちは、ほどほどにすべきだと思います。

深部感覚

構造による筋肉の緊張を取り除く(技術では抜けない緊張)

姿勢の考え方・方法は、様々です。この構造動作トレーニングにおいても独自の姿勢ポジションを目指しています。とはいえ、リハビリから競技動作のベースになるカラダの機能レベルアップまでを矛盾なく滞りなくトレーニングをすすめていかなければなりませんので慎重です。

姿勢においては、一つの指標があります。それは、重力を無理なく受けることができる骨格位置です。例えば、長管骨でしたら長軸方向で重力を受けることができる強度のある位置ということです。この「骨格ポジショニング」をきっちり行って筋肉の起始・停止部を整えることで筋肉が機能的に働きます。

姿勢は、重力を無理なく受けることができる骨格位置

しかし、長軸方向からズレたところで重力を受けると剪断力という力が働いて骨の丈夫さを発揮できません。そして、骨で支えるはずのカラダを筋肉に任せることになります。筋肉は、動作の中で様々に骨格位置を調節する以外の過剰な仕事が増えるのです。これが、技術では抜けない筋肉の緊張です。

この骨と筋肉の関係では、過剰に仕事をする筋肉と運動感覚を失った筋肉が存在します。骨の位置を整えることで両者は均衡を保ち、筋肉の緊張が消えるはです。しかし、運動感覚を失った筋肉があることで負担のかかる筋肉があります。運動感覚を失った、或いは、薄れた、筋肉は機能回復が必要です。

《技術では抜けない筋肉の緊張を取り除く》

  • 重心位置の決定
  • 骨格位置を定める
  • 関節の運動方向
  • 深部感覚の入力
  • 骨格筋の機能回復
  • 基本動作を滑らかにする

技術では抜けない筋肉の緊張を取り除くためには、上記の項目をクリアする必要があります。

競技の世界に潜む「緊張」

スポーツ競技は怪我が付き物といいます。しかし、一流選手の中には長年にわたり活躍する選手がいます。これは、アクシデントに見舞われることなく、運がいいということでしょうか?「緊張」ということでいえば「肉体、構造」による筋肉の緊張が少なく、「心、精神」による防御反応の緊張が少なく、プレッシャーの中でも滑らかに動くことができるということでしょうか?一流選手といえど、構造による筋肉の緊張が全くない選手はいないと思います。何かしら、「緊張」をかかえていたとしても、日ごろから対処している結果なのではないでしょうか。若い選手は、技術的な練習をするので手一杯、一流になればなるほど原点に戻り基本練習をするといわれます。基本動作というのは、シンプルですが、取り組めば取り組むほどに奥深くなるものです。それは、カラダのケアをして、基本動作を練り込むという構造の緊張を取り除くためのルーティーンなのかもしれません。スポーツ競技に限らず、武道にも『型』がありますし、その世界の基本動作には、動きを滑らかにする要素が詰まっているのだと思います。構造動作トレーニングの基本動作は、「スクワット」「股割り」「ロウギアランニング」などを「筋肉の緊張を取り除くための項目を踏まえ」練り込みますが、同様に筋肉の緊張が抜けて、動きが滑らかになります。一流選手が長年に渡り地道なトレーニングを積み重ねて得た知恵はすばらしい。学ぶべきは、素晴しい技術の基になっている地道な基礎つくりだと思います。トレーニングは、知識と実践の両方を備えて根気に取り組むことが大切です。

 

 


 
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